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【読書感想】「汝、星のごとく(著者:凪良ゆう)」

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「汝、星のごとく(著者:凪良ゆう)」

この本とは、知り合いに勧められて出会いました。
胸のあたりがギューってなるよって、切なくなる本だよって聞いて、どれどれってな感じで読み始めました。もちろん、今回もオーディオブックなので、読んだではなく、聞いたというのが正しいのですけどね。

で、読み終わった(聞き終わった)後の読後感は、確かに切なくなったね。

この物語の中には、人が抱えるいくつもの問題や課題が盛り込まれているように思います。
それは、自分自身にも当てはまるし、すぐ近くにいる人も抱えている問題のようにも思います。それらの問題や課題に登場人物たちが翻弄されていく様子が、とてもリアルに描かれています。

親子の関係、友人との関係、地域との関係、仕事の関係、恋人の関係、お金との関係。あらゆる人間関係が絡み合い、すれ違い、取り返しがつかない、なかったことにはできない、そんなジレンマを感じるような生活。
物語自体は、別に複雑ではないんですが、人間関係の悩みについて考えさせられる内容でした。

さて、それでは、ネタバレしないように注意しながら、本作品についてご紹介したいと思います。

依存による人間関係の問題

物語の中の人間関係は、そのほとんどが「依存」による関係性が強いように思う。
男女関係において、「不倫」がいくつも描かれますが、好意と性の繋がりだけでなく、世間体や収入、仕事の成功など、恋愛感情以外の思惑もあって相手を必要としている。関係を保とうとしている。
「不倫」と表現してしまうと、いけないことをしているようにしか思えないけど、そこには、別の目的も存在している。
誰かに依存する関係は本人が不幸になるからやめた方がいい。なんて、身勝手な物言いにしかならないんじゃないか?そもそも、依存しない人間関係なんていうものも存在しないんじゃないか?とすら思える。
(私自身、依存しない人間関係は存在しないと思っている一人なんだけどね。)

生活のためのお金の問題

働いて収入を得ることにおいて、男女に差別はない。と言いたいところですが、やはり、同じとはいかない。体の違いは当然にあるのだから。
だが、どちらが収入が得られるという話でもない。収入を得ようと思えば、何かしら見つかるものなのである。問題なのはその使い道の方か。
物語の登場人物たちは、それぞれに異なる収入手段をもっているけど、別に貧困ではありません。
それなのに、家庭の収支の課題からしがらみが生まれ、子供の将来に影響を与える。世帯としての収入が、子供の将来の選択肢を制限する。家計に影響を与えるような出費を家族の誰かが行って、自由を制限される。
考えてみれば、よく聞く話です。ただ、こんな親にはなりたくないなぁ。そう思いました。

家族とは?

この本を読んで一番強く感じたのは、『家族は身近な他人である』ということ。
人間関係の距離感の近さと信頼性・信用性の深さで、呼び方を変えているだけの関係性なのかもしれない。そんなことを思わずにはいられませんでした。

世の中には、親子であっても不仲で、殺すほど憎んだり、絶縁状態にある家族もいます。
逆に、新たな家族を作るために他人と結ばれ、子供を作り、幸せな家庭を築く家族もある。

私は離婚を経験していて、今は独り身。親・兄弟はいますが、それぞれ別の家庭、別の家族を築いていて、その中に入っていくことはできない。
自分の家族を新たに築くとなると、そこには他人という境界線を越え、家族となる必要がある。
他人と家族の境界線は、どこにあるんだろう?
主人公の暁美を見ていて、そんなふうに思いました。

この本が読みたくなるのはどんなとき?

主人公の二人は結ばれたと考えていいのだろうか?
交際していた間は、互いにすれ違って、幸せそうには見えなかった。別れた後、再会するまでの間も幸せそうではなかった。再会した後は、戸籍上の家族にはなれなかったけど、一緒に暮らし、この期間が一番幸福そうに見えた。

戸籍上の関係だけが家族ではない。心の繋がりを感じられるところに家族愛があるのかもしれない。そして、『幸せ』って、やっぱりお金じゃ買えないけど、お金が原因で失ってしまうことがある。だから、誰のためでもなく、自分のために稼ぐ力を身に着けておいた方がいい。

そんなことを考えてしまうので、次に読みたくなるとしたら、周囲の人との関係性にお金の介在を強く感じるとき。それと、定年後の稼ぎに不安が大きくなった時かな?
読み終わった後のスッキリした感じはなく、モヤーっと微妙な寂しさが残るから、誰かに裏切られたって感じた時に読むのもいいかもしれない。

さて、あなたなら、この本からどんな感情を引き出されるだろうか?
それでは、また。

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